貧乏学生ママチャリ旅
僕はチャリンコに乗って軽い遠出をするのが好きです。
何かに行き詰ったときはよく一日かけてチャリンコをこぎます。
この趣味は高校時代にできたものです。
・貧乏高校生の生活
中学の終わり、高校受験に失敗して私立高校に進学することが決まった時、僕は親に申し訳ない気持ちになりました。
「お金がないから頼むから都立高校に受かってくれよ」ってよく言われていたのに全然勉強していなかったことが悔やまれたんです。
そこで志望校の不合格を確認した帰り道、
母親に勢いで「もうおこづかいはいらないから」って言っちゃったんです。言ったからには後戻りはできません。
そこからは基本的にお正月のお年玉を切り崩していく毎日。
散髪代ももったいないと思ったんで、髪は自分で切ることにしました。失敗して後ろ髪が段々畑みたいになって、クラスの奴らに爆笑されたのも今では良い思い出です(笑)
ボウリングの誘いは基本的に断りました。あの頃の僕にとってボウリングは貴族の遊びです。せいぜい行けてカラオケでした。
カラオケだって僕にとっては贅沢です。全力で楽しみたいんです。
行く前には歌いたい曲をリストにして携帯に乗せておくようにしていました。まあ結局終了10分前になって、歌いたい曲が新たに出てくるんですけどね(笑)
こんな風に節約的な毎日を送っていてもお年玉なんてたかが知れています。夏休み入るくらいにはなくなっているんですよね。
高校一年生、地獄の夏休みの始まりでした。
時間がたっぷりあるんだから勉強とドラムでも極めてやるかって思ったんですけど、朝から晩まで家に引きこもってると病んでくるんですよね。
集中力が切れて、かといってお金もないし何もすることがなくて・・・
・金はないけど遠出したい。
とにかく僕はつまらない地元、東京都小平市から抜け出したい気分になりました。都会に対して訳の分からない憧れを抱いていた僕は「そうだ、新宿行こう!」って思いました。
ただ小平から新宿までの往復500円さえも惜しかった僕には電車に乗るという選択肢がありませんでした。そこで、ママチャリで行ってやろうっていうことになりました。
一人で行くのはさみしい気がしたんで、手ごろな友達を一人お供にしました。暇なやつがいて良かったです。
無計画だった僕らは、待ち合わせした後とりあえず適当に東に向かって走りました。小平から新宿は結構直線なんで、特に迷うこともなく大通りを行くことでスイスイ行けます。
チャリンコで都会方面に行く楽しみの一つは、だんだんと町が活気を帯びてくる感じがすることです。店も人通りも多くなって、高層ビルが見えるようになってきます。
暑さに耐えながら何とか新宿に着いた僕らは、とりあえずマックで休憩することにしました。実際かかったのは2時間くらいでした。大したことはなかったです。
着いたはいいんですけど、特にその先を考えていませんでした。
新宿に行けば何かがあるという謎の妄想は崩れ去りました。
何の計画性もない上に、お金を全く使おうとしない僕に友達はいらだちを見せていました。金銭状況を説明してなだめましたけど、申し訳なかったですw
結局何もしないまま帰ったんですけど、良い運動にもなるし案外楽しいということでそれからちょくちょくチャリ旅をするようになりました。
浅草の方まで行ってみたり、逆に多摩の方を攻めてみたり。
クラスでそんな話をしていると、楽しそうだということで、最初の友達に加えて仲間が二人増えました。(いろんな人とやりましたけど、4人くらいまでがベストですね。)
最長距離は新宿→池袋→浅草→お台場→江の島といった感じで徐々に増えていきました。今のところ僕の最高は小平から箱根で、70~80キロです。もっと増やしていけたらと思っています。
ママチャリ旅の良さは、お金が浮くっていうこともありますけど、やっぱり景色を楽しめるっていうことです。
車じゃよそ見はできないし、ロードバイクやクロスバイクだと前傾姿勢で百パーセント景色を楽しめないんですよね。
僕は今、通学ではクロスバイクを使っているんですけど、たまにママチャリに乗ると視界の広がりにびっくりすることがあります。風を受けて前髪が上に行きますからね。
あと、チャリンコ旅をする時にはこれだけは押さえておいて欲しいっていうことがあります。
それは携帯のマップは絶対に見ちゃいけないっていうルールを設けることです。
チャリ旅ビギナーってすぐ携帯を見ようとするんですよね(笑)これはダメ。
やっぱり何事も試行錯誤が楽しいんです。
スマホに表示された道をまんま行ったところで何の面白みもないんですよ。実際危ないですしね。
通りの青い標識、電柱、バスの行き先、影の方向、情報はいくらでもあります。そういうのを駆使しながら現在地と目的地の方向を推理するところに本当の楽しみがあります。
迷うのも醍醐味です。僕もよく、訳わかんないところでグルグル回ってることがあります(笑)その分だけ土地勘がついて良いってもんです。
ママチャリ旅は僕みたいに帰宅部かつお金がないという、しょーもない学生には特におすすめです。
暇な時には時間つぶしになるし、勉強に行き詰ったときには良い息抜きになりますよ。